豊田真由子前議員と「自己肯定感」 | 一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会

豊田真由子前議員と「自己肯定感」

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秘書に対する暴言や暴行が明らかになり自民党を離党した豊田真由子議員が、9月17日放送のフジテレビ系情報番組「Mr.サンデー」の宮根誠司キャスターのインタビューの中で「自分に自信がなく小さい頃から自己肯定感が低い」と述べている場面がありました。

それに対して、宮根キャスターは「(桜蔭高校)東大、厚生省(当時)、(ハーバード大学大学院)に入った(高学歴)のあなたが自己肯定感が低いというのは?」と疑問を投げかけたのに対し、厳しい家庭で育ち、認められたい一心で頑張ってきたこと。議員になって人に必要としてもらえていると感じたことで自分の存在価値が保たれていたこと、今回の暴行や暴言に対して、秘書の失敗で自分の存在価値が失われ、信頼してくれる人からの信頼を失うことへの「恐怖心」から出たものとも述べていました。

では「自己肯定感」とはどういうものでしょう?

「自己肯定感」とは、自分の能力や才能、行動や成果に左右されることなく、自分の存在そのものを承認できることであり、「自分が自分であって大丈夫」という、人が生きていく上で一番大切な感覚のことです。

「自己肯定感」は、3、4歳までの親や養育者のはたらきかけが土台となり、それ以降は、親子の信頼関係や他者との関わりの中で自己を認識し育まれていきます。

仮に、学業が優秀であることや、他者より優れていること、何かうまくいったときだけしか親に認めてもらえなかった子どもは、親に認めてもらうために、次から次へと獲得目標を掲げそれをクリアし続けなければなりません。この時、子どもの価値はその子自身に置かれていないので、自己肯定感は当然下がります。

この状態が続くと、子どもの精神は非常に不安定になり、親を失望させてはいけない、期待に応えられなければ見捨てられてしまう、そのために頑張らなければと自分を追い込みます。

このような状態で大人になると、親から独立して離れても、その意識は抜けず、常に周りや誰かの評価で自分の価値を保とうと躍起になり、何らかの成果を上げ続けることを自分に課し、上げられないと、それが自分の存在価値を脅かします。

また、失敗を許さない完璧主義の傾向も出やすく、他者にも非常に厳しく、他者の失敗も許せず、人を能力や成果、その人の付属物で判断する面もあるかもしれません。それが良好な人間関係の構築を阻み、生きにくさを作り出す要因にもなります。

ただし、人が生きていく上で、非常に重要となる「自己肯定感」について、子どもを育てるときに理解している親がどれほどいるでしょうか?

まだまだ少ないのが現状ではないでしょうか?

親が子どものために良かれと思ってやっていることが、かえって、子どもの自己肯定感を高められず、その子の人生を不幸にしていることも残念ながらあるのです。

次に、今回のインタビューで豊田氏が述べている「認められたい一心でがんばってきた」向上心の原動力は「自己否定」や「恐怖心」「不安」です。

これはとてもパワフルですが、例えば、何か資格を取れば、何か成果が上がれば、自分の価値が上がると考え、傍から見たら充分にすごい!と思うことも、本人にしてみれば、まだまだで、ひとつクリアしたら、次の目標を目指し、それを獲得することで自分の価値を証明し続けなければならないのです。

そして、失敗したら自分の価値が一気に吹き飛ぶという「恐怖心」と隣り合わせのため、非常にストレスフルで、この状態を次々クリアしたとしても、自分自身に価値を見出すことをせずに、何かをクリアした自分に価値を置いているため、永遠に自分を認めることができません。これは「マイナスの向上心」と言えるものです。

一方、「プラスの向上心」は、現状を認め、自分に足りないところやできないところがあっても自己受容することで、安心感になり、そこから本当の意欲が生まれて、目標に向かって頑張ろうとする「向上心」のことです。

さらに、自己肯定感が低いと人間関係にも影響を与えます。

自分を認められないと、常に他者からの評価が気になり、それは自己価値を失うことへの恐怖心と隣り合わせのため、自分の価値を守り正当化するためには、自己防衛的になったり、極端なケースは、他者を貶(おとし)めたり、過激な攻撃、強い被害者意識で周りを悪者にし、矛先を相手に向けるケースと、もう一つは、過剰に自分を責め、自分はダメだと、自己否定を強くして、自分に矛先を向けるケースがあります。

豊田氏の場合は、明らかに前者です。

本来、自己肯定感が持てていると、自分を認め、自分を尊重するように、他者も尊重でき、他者からも尊重される相互尊重の関係が築いていけるのですが、今回、自己保身、自己弁護に終始された豊田氏のインタビューを聞いて、「自己肯定感が低い」と述べている氏が今後、そこを改善されない限り、同じことが繰り返されるのではと懸念いたしました。

現在、教育現場はもちろん、企業においても「職場の働きやすさ」や「仕事のパフォーマンス」「メンタルヘルス」の面からも注目されている「自己肯定感」ですが、その正しい知識と普及は日本においても急務であると言わざるを得ません。

(文責:工藤紀子)

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