自己肯定感を高める上で自己受容は重要なカギを握っています。
特に子どもが自己肯定感を育む過程で、自ら自分を受け入れることは、自分のアイデンティティの確立に欠かせません。子どもが自己受容ができるようになるには、親からの肯定的で好意的な働きかけにより「自分が自分であって大丈夫」と思える安心感や無条件の受容が基盤になります。
この基盤があることで、思春期の子どもたちは様々な葛藤を抱えながらも自分と折り合いをつけ、アイデンティティを確立していくことができるのです。
大人になってから自己肯定感を高めるときに、重要なのがこのプロセスを再構築していくことです。
しかし、大人になって自分のすべてを受け入れるということはなかなか容易ではありません。ここでカギとなるのがセルフコンパッションです。
セルフコンパッションとは、自分自身の苦しみに対して孤独感や焦燥感に陥ったときも思いやりと理解を持つことです。
自分に対して、共感と理解を示しながら、自分の不完全な部分を受け入れ、それを包み込むやさしさを持つこと。
全てを赦(ゆる)してくれる慈愛の心で自分自身を包む感覚をもつこと。
自分の欠点や失敗を、厳しさではなく、思いやりとやさしさで受け止めること。
このセルフコンパッションを実践することで、自分の存在そのものを受容し自己肯定感を高めることができます。
当協会では、自己肯定感を絶対的自己肯定感と社会的自己肯定感の2つの構成要素に分けてお伝えしています。
特に、何があっても自分を支えられる「絶対的自己肯定感」は不確実で先が見えない時代において、ますます重要となります。
自己受容をすることは、絶対的自己肯定感を高めるための大事な基盤です。セルフコンパッションは、その実現に不可欠な要素なのです。
子どもの成長過程においても、大人になってからも、セルフコンパッションを実践して自己受容のプロセスを理解し、絶対的自己肯定感を高めていけると自己価値をしっかり保つことができます。
自己受容は誰にとっても簡単なことではありません。しかし、自分を責めてしまいたくなるときこそ、自分自身に優しさと思いやりを持って、自分を受け止めてあげてください。
このセルフコンパッションは、自分を甘やかすことではありません。自分の現状をいい悪いとジャッジせずにありのまま受け止めることです。自分の弱さや失敗をそのまま受け止められると心が軽くなります。
そこで安心感が生まれあなた自身の中に新たな力が湧いてくるはずです。
(文責:代表理事工藤紀子)