知っておきたい自己肯定感が低い人がとりやすい保身的行動の特徴

📌 このページの要点

  • 自己肯定感が低いと、無意識に自分を守るための「保身的行動」をとりやすくなります。
  • JISEでは、その傾向を6つのパターン(承認欲求型・完璧主義型・優位性追求型・過剰援助型・自己否定型・逃避型)に整理しています。
  • 自分の傾向を知ることは、自己肯定感を高める第一歩です。
  • これらは性格を決めつけるものではなく、自己理解のヒントとしてご活用ください。

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自己肯定感を支える3つの感情と自己肯定感が低い人がとりやすい自己保身的行動についてご関心をお持ちの方は、どうぞ無料の入門講座をご受講下さい。

理論的背景|自己肯定感が低いと保身的行動が出やすくなる理由

自己肯定感を支える3つの感情

「自己と組織の創造学」の中で、組織心理学者ウィル・シュッツは、私たちは自己概念を支える3つの感情があると述べています。

それが、「自己好感」(自分は好かれていると思う)、「自己重要感」(自分は重要・大切である思う)、「自己有能感」(自分は能力があると思う)です。この3つの感覚は誰もが根元的に持っている欲求であり、自己肯定感に影響します。

これらの感情が脅かされたと感じたときに、人は傷つき、感情的に反応しやすくなります。自己肯定感が低いと、この感覚が脅かされると感じる頻度が高くなります。それが嫌な気分をつくり、自己保身的な行動をとりやすくなり、人間関係に悪影響をもたらします。

自己防衛のマスタープログラム(クリス・アージリスの知見)

私たちは本能的に自分を守る行動をとります。それは自分に対する脅威となるものに対してですが、対人関係などで自己保身的な行動を頻繁にとってしまうとき、自己肯定感が低い状態であるといえます。

組織行動学者クリス・アージリス博士は、「人は脅威を感じたり、当惑したり、自己価値を脅かされそうになると、無意識に自分の中に深く根差した行動の”マスタープログラム”に戻ってしまう」と述べています。そのときの行動は、自分の地位や面目を保つために、頑なまでの自己防衛的態度で自分を正当化しようと、あらゆる脅威に対する反射的な行動を取るというものです。

この態度や行動が反射的に出やすいと、人との良好な関係は築きにくく、それが対人関係を阻害する要因となります。自分が取りやすい保身的な行動の傾向を知り、その行動の理由となる背景を知ることができると、自己肯定感を高めるヒントになります。

自己肯定感を高める方法は保身的にならないこと

JISEの実践整理|自己肯定感が低いと表れやすい6つの保身的行動

ここからご紹介する6つのタイプは、JISEが32年にわたる自己肯定感の研修・講座の現場で見られる傾向をもとに整理しているものです。一般的な心理学の分類とは異なる、JISE独自の整理です。

自己保身や自己防衛的な態度や行動は、自己に対する脅威となるものに対して取られるものです。私たちが誰かに対して、嫌な気持ちや感情的になるときは、何かに反応して、自己価値が脅かされる危機を察知して、なんらかの自己防衛のスイッチが入ったサインです。

自己保身的行動の背景には、「自分が自分をどう思うか」の「自己認識」とともに、「相手からどう思われているか」という自分が感じている感情が影響していますが、そこに自己肯定感の低さが大きく影響しているとJISEでは考えています。

6つの自己保身のパターンを整理しました。自分がとりやすい自己保身のパターンを認識し、自己肯定感を高めていけると、自己価値が脅かされるという感覚が減り、自己肯定感を下げずに保つことができます。

※以下の6分類は、性格を決めつけるためのものではなく、自己理解のヒントとして整理した傾向です。誰もが多かれ少なかれ持っているもので、状況や相手によって複数のパターンが重なることもあります。

【JISEが整理する6つの自己保身パターン】

  1. 承認を過度に求めるタイプ(私を認めてさん)
  2. 完璧主義で自分にも人にも厳しいタイプ(カンペキさん)
  3. 比較で優位に立とうとするタイプ(私はNO.1さん)
  4. 過剰に人を助けようとするタイプ(世話焼きさん)
  5. 自己否定・自己非難が強いタイプ(くよくよさん)
  6. 問題から逃避しやすいタイプ(逃げちゃえさん)

1. 承認を過度に求めて頑張ってしまうタイプ(私を認めてさん)

行動の傾向

  • 人から認められないと不安
  • 特別扱いしてほしいという気持ちが強い
  • 相手の考えに振り回されやすい
  • 人からどう思われているかいつも気になる
  • 人から意見されると否定されたと受け止める
  • 自分の意見を言わず人に合わせやすい
  • 嫌われたくない、いい人だと思われたい
  • 相手に過剰に気を使ってしまう

【特徴】自己肯定感が低く、自分で自分を認められていないので、「人からどう思われるか」を気にし、人から認めてもらう、人から肯定的な働きかけを与えてもらうことで、自己価値を保とうとします。「認めてほしい」「私はこんなに頑張っている」という思いが強く、褒められ、感謝されるために頑張るタイプ。どの行動においても、人に意識を向けているようで、関心は自分に向けられています。承認をもらえないと常に不安で、他者に対して承認を求める気持ちが止められません。期待していた評価をされないとひどく落ち込んで不満を持ちやすいのも特徴です。また、いい人と思われたくて人に合わせすぎてしまう傾向もあります。

2. 完璧主義で自分にも人にも厳しくなりやすいタイプ(カンペキさん)

行動の傾向

  • 完璧であるべきという意識が自分にも他人にもある
  • ちょっとしたミスが許せない
  • 間違いや失敗を極度に恐れる
  • 努力を認められず、成果に満足できない
  • 白か黒かで物事を判断する
  • うまくいったことより、うまくいかないことにフォーカスする
  • 人にも自分にも、満足することができない
  • 責任をもって、周りの期待に応えたい

【特徴】自分にも人にも完璧を求めるタイプで「ダメな人って思われたくない」「失敗やミスは絶対したくない」「能力がないと思われたくない」という恐れが強く、完璧であることで、自己価値を証明し、不安を払拭できると信じています。結果を出し、ゴールに到達できたとしても、すぐに不安から次の獲得目標にゴールを置き換えるので、達成した感覚や満足を得にくく、プロセスや努力、経験をなかなか自己価値に積み上げていけません。常に「もっと、もっと」と追い立てられている感覚を持ちやすく、これ以上頑張れなくなったときに、心が折れてしまうことがあります。「白か黒か」「0か100か」という考え方が目立ち、自分にも人にも厳しくなりがちです。目標や理想通りにならないと満足できず、子どもに対しては過干渉になることもあります。

3. 比較で優位に立とうとするタイプ(私はNO.1さん)

行動の傾向

  • つい人の批判をしてしまう
  • 自分がいかにすごいかをアピールしがち
  • 人から意見されると攻撃されたと感じる
  • 人と比較して優位に感じることで自信を持つ
  • ムキになって自分を正当化してしまう
  • 自分を通さないと不満で、何でも口を出す
  • 自分の非を認めにくく、人のせいにしがち

【特徴】「自分は優れている」「自分には能力がある」と思いたい願望が強いために、それを証明しようと躍起になります。「できない人と思われるのが怖い」「弱いところを見せたらつけこまれてしまう」「見下されたくない」という思いが強く、出来る人であることを証明したいがために「人との比較」で優位性を保とうとします。そのため、持っているものや肩書、自分に付属しているもので自己価値を高めようとする人もいます。プライドが高く、負けを認めたがらない、弱さを見せられないタイプ。外見は自信満々のように見えますが、心の奥底に自己肯定感が低いために、対外的に何かを証明するもので自己価値を証明しようとします。

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4. 過剰に人を助けようとするタイプ(世話焼きさん)

行動の傾向

  • 誰かの役に立っていないと不安
  • 相手が助けを求めていないのに助けようとしがち
  • 自分や身近な問題をほったらかしにしてボランティアに精を出す
  • 自分を必要と感じてくれる人を探す
  • 恋愛では相手に尽くしすぎてしまう
  • 自分が疲れていても相手を助けなくてはと思う
  • 過干渉になりがち

【特徴】他者の役に立ちたいという純粋な貢献の気持ちからではなく「満たされない自分のため」の自分や自分の不安を埋める行為になっています。「必要な人と思われることで安心したい」という思いが強く、満たされない不安な気持ちを埋めるために、人のため、誰かのために尽くしてしまう、自分や家族などが抱えている問題から目を逸らすために、外の世界で自分の居場所をみつけようとするタイプです。他の人の問題に集中すれば、自分が抱えている問題に向き合わずにすみ、自分の問題から目を逸らすことができます。他者の役に立てば、自分が必要とされていると感じられますが、それが自己犠牲からの補償行為になると、いくら人を助けても自分の満足にはつながりません。

5. 自己否定・自己非難が強いタイプ(くよくよさん)

行動の傾向

  • 「私なんて」「どうせ無理」と思いがち
  • 自分は「かわいそう」「被害者」だとよく思う
  • 自分のことは人に理解されないと感じる
  • 人に心を開きにくい
  • 何かあると非難されていると感じる
  • なんで自分ばかりと思いがち
  • 悩みをひとりで抱え込みやすい
  • 何かあるたび「私が悪いんだ」と思う

【特徴】何かあると自分を責め、物事と自分を関連付けて否定的に捉えやすいため、常に不安を抱えています。「傷つきたくない」「非難されたくない」という思いが強く、マイナス思考で自虐的になる傾向があります。自己肯定感が低いため、能力がない自分、人の期待に応えられない自分を責め、非難することで、無意識に他者から責められないように自分を守っているとも言えます。自分の殻に閉じこもる傾向が強く、失敗を過度に恐れるので、なかなか行動に移すことができません。それが主体性を持って生きることを難しくします。

6. 問題から逃避しやすいタイプ(逃げちゃえさん)

行動の傾向

  • 何か問題が起こっても無関心を装う
  • 本気にならない
  • 都合が悪いことは興味のないふりをする
  • 問題があっても解決しようとしない
  • いい人を演じがち
  • 人と深く関わることを避ける
  • 困難な場面に直面することを避ける
  • 困難な状況から逃げ出す

【特徴】自分への能力への不安があると「自分には関係ない」という態度を取ることで、問題に巻き込まれるのを避け、自分にとって都合の悪い事は興味のないふりをして、関わるのを避けようとします。そうすることで、自己価値が危機にさらされることを回避し自分を守っているのです。人と関わらないことで、自分がうまくいかないことや、困難に直面して失敗するリスクを回避しています。自分はまだ本気を出していないことを言い訳にして行動を起こさないことで自分のプライドを保とうと、問題から逃避する傾向があります。肝心なことはやらない、関わらないことで、困難なことや都合の悪い事を避けようとするタイプと言えます。

(引用:『職場の人間関係は自己肯定感が9割』工藤紀子著、LDK 2020年9月号特集)

自己肯定感が低い人の自己保身的な行動パターン

自己肯定感が低いと「保身的行動」の頻度が高まる

自分が認めたくなかったり、自己価値を感じられていないことから目をそらそうと無意識に取ってしまう行動や態度が「自己保身」です。ここでご紹介した「自己保身」のパターンは、多かれ少なかれ誰もが持っているものですが、自己肯定感が低いとその頻度は高まります

そこで、自分のどんな考えが自己価値を脅かし、自己保身の行動や態度に駆り立てるのかを理解し、自己肯定感を高めていくことが大切になります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 6つのタイプのうち、複数当てはまる気がします。問題でしょうか?

問題ありません。6つのタイプは、相手や状況によって複数が重なって表れることがあります。むしろ「自分の中にこのパターンがある」と気づけることが、自己理解の第一歩です。性格を固定的に決めつけるものではなく、自己肯定感を高めるためのヒントとしてご活用ください。

Q2. 自己肯定感が低くなる原因は何ですか?

幼少期の養育環境、文化的背景、教育のシステム、人間関係での傷つき体験など、複数の要因が影響すると考えられています。特に「自分はそのままで価値がある」という体験を十分に得られなかった場合、自己肯定感の土台が育ちにくくなります。ただし、自己肯定感は大人になってからでも高めていくことができます。

自己肯定感が今の日本で求められている理由

Q3. 保身的行動を減らすにはどうすればよいですか?

まずは、自分がどのタイプの保身的行動をとりやすいのかを認識することが大切です。そのうえで、自己価値が脅かされる感覚を減らしていくために、自己肯定感を高める習慣や考え方を身につけていきます。一度の気づきで変わるものではなく、継続的なトレーニングが必要ですが、誰でもいつからでも変えていくことができます。

自己肯定感を高める5つのステップ

Q4. 6つのタイプは一般的な心理学の分類ですか?

いいえ、6つのタイプはJISEが32年にわたる自己肯定感の研修・講座の現場で見られる傾向をもとに整理しているものです。理論的背景としてウィル・シュッツの「自己と組織の創造学」やクリス・アージリスの組織行動論を参考にしていますが、6分類自体はJISE独自の整理です。

Q5. 自己肯定感の高い人は保身的行動を全くとらないのですか?

いいえ、保身的行動は誰もが多かれ少なかれ持っているものです。違いは「頻度」と「強さ」です。自己肯定感が高い状態では、自己価値が脅かされる感覚が少ないため、保身的行動をとる頻度が低くなります。また、たとえ保身的な反応が出ても、自分でそれに気づき、立て直すことができます。

次に読むおすすめページ

自己肯定感が低い状態を生み出す保身的行動のパターンを理解できたら、次は自己肯定感を高める具体的な方法を学んでいきましょう。

参考情報

本ページの内容は、以下の文献や知見を参考にしつつ、JISEが32年にわたる研修・講座の実践を通して整理したものです。

  • ウィル・シュッツ『自己と組織の創造学』(FIRO理論および自己概念を支える3つの感情)
  • クリス・アージリスの組織行動論における自己防衛的行動・「マスタープログラム」の知見
  • 工藤紀子『職場の人間関係は自己肯定感が9割』(フォレスト出版)
  • 晋遊舎『LDK』2020年9月号特集

※本ページで紹介している6つのタイプ分類は、上記の理論を参考にしつつ、JISEの研修実践を通して独自に整理したものです。一般的な心理学の定型分類ではありません。

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