
「打ち負かしたい」衝動の裏に隠された理由と自己肯定感
今日のテーマは、私たちが時に抱く
「他人を打ち負かしたい」という競争心と、その奥底に潜む心理、
そして自己肯定感との深い繋がりについて、
お伝えしたいと思います。
皆さんは、ふとした瞬間に、
誰かと比べて優位に立ちたい、
相手よりも良い結果を出したい、
そんな気持ちが湧き上がってくることはありませんか? スポーツの試合、仕事の成果、
あるいは日常生活の些細なことまで、
私たちは様々な場面で競争という名の舞台に立つことがあります。
もちろん、健全な競争は、
私たちを成長させるための原動力となることもあります。
目標に向かって努力し、
自己を高めるための良い刺激になることもあるでしょう。
しかし、その競争心が過剰になり、
他人を打ち負かすことだけが目的になってしまうと、
私たちの心は疲弊し、
人間関係にも歪みが生じてしまうことがあります。
では、なぜ私たちは、そんなにも他人を
打ち負かしたいと感じてしまうのでしょうか?
その裏には、様々な感情が隠されていますが、
特に注目したいのが、自己肯定感の低さが、
そうした競争心を過剰に煽るという点です。
今日は、その理由を3つの側面から、掘り下げていきたいと思います。
まず、一つ目の理由は「劣等感の裏返し」です。
自分自身に自信がないと感じている時、
私たちは無意識のうちに、
他人を打ち負かすことで、
一時的に優越感を得ようとすることがあります。
「あの人よりも成績が良い」
「あの人よりも仕事ができる」
「あの人よりも認められている」と感じることで、
まるで自分の価値が上がったかのように錯覚してしまうのです。
これは、自己肯定感の低い人に特に見られる傾向です。
自分に対する確固たる自信がないため、
外側の評価や他人との比較に頼らざるを得ないのです。
まるで、不安定な建物を支えるために、
周りの建物にしがみついているような状態と言えるかもしれません。
しかし、それは一時的な安心感に過ぎず、
根本的な劣等感の克服には繋がりません。
むしろ、常に誰かと比較し、
優劣をつけなければならないため、
心が休まることはないでしょう。
二つ目の理由は「承認欲求の歪み」です。
私たちは皆、他者から認められ、
価値ある存在として受け入れられたいという
承認欲求を持っています。
しかし、自己肯定感が低いと、
その承認欲求が歪んだ形になって現れることがあります。
つまり、「競争に勝つこと」だけが、
他者からの評価を得るための
唯一の手段だと考えてしまうのです。
自己肯定感が高いと、
結果だけでなく、努力の過程や自分の成長にも
価値を見出すことができます。
たとえ競争に負けたとしても、
「今回はうまくいかなかったけれど、自分の努力を評価し、その経験を次に活かせるはずだ」
「自分の成長を感じることができた」と、
前向きに捉えることができるのです。
しかし、自己肯定感が低いと、結果が全てとなり、
勝つことだけが自分の価値を証明するものだと考えてしまうため、
常にプレッシャーを感じ、
競争に勝つために必死になってしまうのです。
そして、三つ目の理由は「自己価値の不安定さ」です。
自己肯定感が低いと、自分の価値を、
自分の内なる基準ではなく、
常に他人との比較によって測ろうとします。
「あの人よりも優れているから、自分には価値がある」
「あの人に負けてしまったから、自分はダメな人間だ」というように、
自分の価値が、まるでシーソーのように、
他者の状況によって大きく左右されてしまうのです。
自己肯定感が高いと、他者との比較ではなく、
自分の内なる基準で自己価値を判断することができます。
「私は私自身の価値を持っている」
「他人と比べる必要はない」と、
揺るぎない自信を持っているため、
常に誰かより上にいようとする必要がないのです。
では、このような過剰な競争心から解放され、
より安定した自己肯定感を育むためには、
具体的に何を実践すれば良いのでしょうか?
まず、最初に取り組むべきは
「自分の強みと弱みを認識する」ことです。
他人と比較するのではなく、
自分の個性や才能に目を向け、
それを活かすことに意識を向けましょう。
自分が得意なこと、人から褒められること、
情熱を持って取り組めることなど、
自分の強みを知ることは自信の源となります。
同時に、自分の弱点も受け入れることで、
完璧主義から解放され、
ありのままの自分を認められるようになります。
次に「目標設定を『競争』から『成長』へ」とシフトさせましょう。
他人を打ち負かすことを目標にするのではなく、
「〇〇ができるようになる」
「〇〇のスキルを向上させる」といったように
昨日の自分を超えていく!
自分の成長に焦点を当てた目標を設定するのです。
自分の成長を実感することで、
内発的なモチベーションが高まり、
結果として、他人との比較に囚われることなく、
充実感を得られるようになります。
そして、最後にとても大切なのが
「他者の成功を祝福する」ということです。
他者の成功を素直に喜ぶことは、
自分の心の余裕に繋がります。
「あの人が成功したから、自分は劣っている」と感じるのではなく、
「素晴らしい!おめでとう!」と心から祝福することで、
ポジティブなエネルギーが生まれ、
自分自身の成長への良い刺激にもなります。
また、他者の成功から学びを得ようとする姿勢も大切です。
もし今、あなたが
過剰な競争心に苦しんでいると感じているなら、
今日お話した3つの実践方法を、ぜひ試してみてください。
自分の強みを見つめ、成長に焦点を当て、
他者の成功を心から祝福すること。
それらの小さな一歩が、
あなたの自己肯定感を育み、
他人との不必要な競争から解放してくれるはずです。
今回のメルマガが、前向きに日々を過ごすための一助となれば幸いです。
日本セルフエスティーム普及協会では、
自己肯定感を高めるための様々なプログラムを提供しています。
ぜひ、当協会のウェブサイトもご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今日も素敵な一日をお過ごしください。
次回のメルマガも、どうぞお楽しみに。
日本セルフエスティーム普及協会
代表理事 工藤紀子