親の子どもへの過度の期待は子どもを苦しめます。
子どもは本来、親の期待に応えたいのですが、その期待に応えられないと自分を責めるようになります。親の期待に応えられていない自分に対して罪悪感を感じ、それが子どもの自己肯定感の低さにつながっていきます。
子どもだけではなく、大人になっても親の期待に応えられなかった自分に対する罪悪感を持ち続けて苦しんでいる方が少なくありません。
大人になってからも自己肯定感が低いまま自信が持てず、何か成果を上げ続けていないと、自己価値を感じられないケースは、子ども時代の「親の期待に応えられなかった」「親に褒めてもらえなかった」「親に認めてもらえなかった」という心の痛みが影響していることがあります。
自分を認めてもらうために外発的な動機で頑張ろうとする状態は、その時は成果を上げられても、一向に満足できないために、もっともっと頑張らねばと、自分を追い込み「頑張りの底なし沼」になってしまうのです。
それがどんどん自分を苦しめる結果となります。この苦しみを作り出すパターンを外していくには、この動機の奥底に隠れている子ども時代の「親の期待に応えたい」「親に認めてもらいたい」という思いに気づき、誰かに認めてもらおうことで、自分を満たすのではなく、まず自分で自分を認めることで自己肯定感の土台をつくることが必要です。
それができて初めて、その上に自分の頑張りや社会的な成果を自己価値として積み上げていけるのです。
当協会の講座を受講される方も、このパターンを外すことで、自己肯定感の土台を持ち、本来の自分の力を取り戻していかれるケースが多くあります。
では、子どもの人生に多大な影響を与える親の過度の期待は、なぜ子どもに向けられるのでしょう?
親の自己肯定感が低いと、分かりやすい尺度である子どもの学校の成績や、進路、就職先など、成果や優劣が一目で分かるもので、親自身の自己価値にすり替えてしまうのです。また、親の過去の後悔や悔しさ、挫折を挽回したいという思いが、子どもに親のエゴを押し付けてしまうケースもあります。
これは、親が抱えている不足感や不満足を子どもが与えてくれる成果物で埋めようとしている状態です。別の言い方をすれば、子どもを使って自分を満たそうとしているのですが、親自身はそれには気づいていません。
むしろ子どものため、子どもの幸せのためと信じて、子どもの進路や就職する会社にも口をだし、将来の方向を親がよかれと思う方向に無意識に働きかけてコントロールしていきます。
これは親の自己肯定感が低いために、子どもを信じられていないことから起こります。
親の言うことをよく聞く「いい子」ほど、親が自分のために頑張ってくれているのだから、親の期待に応えないと悪い、でもやっぱり、自分にはできないという、その葛藤の中で苦しんで身動きが取れなくなります。
実際にカウンセリングを希望されたお母さんは、中学生の息子が不登校になっていることに悩んでいました。
その方の場合は、息子の現状を変えたい、息子を学校に行けるようにしたい、その相談は息子さんのためでしたが、話をお聞きすると、そのお母さん自身が息子の現状を受け入れられず、自分の理想通りにいかないもどかしさや焦り、不満を抱えていました。
そこで、母親自身の自己肯定感の低さが、息子に対する感情に大きく影響していることに気づかれたのです。息子さんは中学生ながらとてもしっかりと自分を持っていました。「その子がいきなり、不登校になるんて、どうして??」とお母さんは動揺したようです。
息子さんには息子さんの理由がありました。そこでお母さんは自分自身と向き合われ、自分も親の期待に副うよう頑張ってきた過去があり、それを自分の子どもにも強いてきたことに気づいたのです。
親自身の自己肯定感を上げることで、子どもを信頼できるようになり、それが子どもの幸せにつながっていきます。
子どもの自己肯定感を育てるために、親ができることは、まず親自身が自分を大切にして、そのままの自分を無条件で認めてあげる、その姿を子どもに見せることなのです。
親の自己肯定感を高めることなしに子どもの自己肯定感は高まりません。
いつの時代も親の自己肯定感が子どもの自己肯定感に大きく影響していくのです。
(文責:工藤紀子)
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