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「毒親」って何?親子関係について考える夜
先日、録画していた『クローズアップ現代+』を見ました。「毒親って!? 親子関係どうする…」というテーマでしたが、テレビを見ながら私たちの講座に参加してくださる受講者さんたちの顔が次々と頭に浮かびました。
小さい頃に親からの過干渉や暴言、時には暴力を受けた経験を持つ方は少なくありません。「どうしても親を許せない」「親は味方じゃなくて、一番身近な敵だった」「今でも殴り返したい気持ちが消えない」――そんな言葉を聞くたび、胸が痛みます。実際、毒親の存在が子どもの自己肯定感や未来を奪ってしまう現実を、私たちは日々目の当たりにしています。
斎藤学先生が語る「毒親」4つのタイプ
精神科医・斎藤学先生は、訴えの多い毒親を四つに分けていますのでご紹介します。
- 過干渉・統制型
子どもの毎日の予定表から交友関係、将来の進路までを手綱で縛る。よく口にするのは「あなたのためを思って」。しかし実際には、親自身が「いい親」と評価されたい、または自分の不安を子どもの管理でなだめたい――そんな深層心理が潜んでいるケースが多いように感じます。 - 無視(ネグレクト)型
ご飯は出てくるけれど話しかけると「今忙しい」と冷たく突き放す、あるいは最初から存在を無視する。家に居ながら“無人島”で暮らすのと同じ孤独を子どもは味わいます。 - 暴力・暴言・性的虐待型
身体的打撲痕は時間とともに薄れますが、心に残る“打撲痕”は治癒に数十年かかることも。しかも加害者が親となると、被害者は「逃げていい」という発想自体を奪われがちです。 - 病気の親型
例えば双極性障害の激しい気分の波に子どもが振り回される、あるいは反社会性パーソナリティ障害で一貫して共感を示さない――。このタイプは周囲の支援が必須ですが、本人が病識を持てないことも多く、支援に辿り着くまでに時間がかかります。
これらは明確に線引きできるわけではなく、複数がミックスされるケースもあります。ただ一つ共通しているのは、「子どもの自己肯定感を根こそぎ奪う力を持つ」という事実です。
「子どものため」が実は親のため?
こうした環境で育った子どもは、自己肯定感を持てなくなりがちです。中学・高校生になると不登校やうつ症状が出てくることも珍しくありません。特に過干渉型の親の場合、親自身が自己肯定感の低さを抱えていることが多く、「あなたのため」と言いながら、実は自分の価値を子どもの成果に重ねてしまう傾向が強いようです。
「私はあなたのために言っているのよ」「こうすべきでしょう」――一見、子ども思いの言葉に聞こえますが、実は親自身が周囲から評価されたい気持ちが隠れていることも。
親子のすれ違いが生まれるとき
親が「愛情」と信じている行動も、子どもには「苦しみ」として伝わってしまうことがあります。親の真心が、子どもには剛速球のデッドボールのように感じられてしまう――そんな悲しいすれ違いが起きてしまうのです。
今は核家族化が進み、祖父母など他の大人が間に入って緩衝役を果たす機会も減りました。その結果、子どもが家庭の中で逃げ場を失ってしまうケースも増えています。さらに、夫婦仲の悪化がストレスとなり、その矛先が子どもに向かうことも…。
「子どものため」を見直す勇気を
もし今、子育て中の親御さんがこの記事を読んでくださっているなら、「本当に子どものためになっているかな?」と、時には立ち止まって考えてみてください。
そして、過去に毒親との関係で苦しんだ経験のある方は、どうかご自身の気持ちを大切に、少しずつ自尊感情を取り戻していってほしいと思います。
私たちの協会では、自己肯定感を回復するための講座やプログラムを用意しています。いつか「ありのままの自分」を心から認められる日が来るように、私たちも一緒に歩んでいきます。
あなたの人生が、少しでも軽やかになりますように。