親は「叱る」より「ほめる」ことが苦手~「ほめ写」プロジェクトの調査結果から~ | 一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会

親は「叱る」より「ほめる」ことが苦手~「ほめ写」プロジェクトの調査結果から~

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近年、内閣府の「子ども若者白書」や国立青少年教育振興機構などで「日本の子どもたちは諸先進国に比べて自己肯定感が低い」という調査結果が発表され、その対応が急務となっています。

2018年2月に「子どもの自己肯定感」や「親の子育て意識」を探ることを目的に4~12歳の子どもを持つ親600組にインターネット調査が行われました。

その調査からは、子どもの自己肯定感は大事で伸ばしたいけれど、親自身が「自己肯定感」が子どもにどのような影響を与えるか具体的には分かっていない、意識して取り組みもしていない、という実体が明らかになりました。

【調査結果サマリー】
1)95%親は「子どもの自己肯定感は大事」と思う一方で、約6割の親は「子どもの自己肯定感を高めることを意識して行っていない」と回答。
2)自己肯定感が子どもにどのような影響を与えるかを知っている親は約3割。
3)親が子育てで伸ばしたい項目TOP3
   1位 他人を思いやる気持ち
   2位 自己肯定感
   3位 目標に向けて努力を継続する力
4)6割の親が「叱る」より「ほめる」方が難しいと回答。
(2018年ほめ写プロジェクト資料より)

今回の親を対象にした調査の結果を見ても、「自己肯定感が子どもに与える影響を知っている」という親はわずか約30%。言葉は知っていても、それが子どもにどんな影響があるのかを知らないと答えた親は全体の70%。

自己肯定感を高めるための取り組みについて聞いたところ自己肯定感が大事だと思いながらも「子どもに意識して行っていることはない」と回答した人は58.5%。「意識して行っていることがある」親は41.5%で半数以下に留まりました。

この調査からみても、「自己肯定感」という言葉は知っていても、それが何なのか、子どもにどう影響を与えるのか、それを親としてどう育んでいったらいいかがわからない、まだまだ親の自己肯定感に対する認識や理解が低いのが現状といえそうです。

また、同調査では約6割の小学生の親が「子どもに自信がない」ことに悩んでいることもわかりました。親ができると思っていたことを子どもができなかった場合に「自信がない」と感じているようです。たとえば、親は家ではよく話す子どもが、友だちの前では静かになったり、授業中に発言ができなかったりした時、子どもに自信がないと感じてしまうようです。「友だちの輪に入れないようだけど、コミュニケーション能力が低いのでは?」「授業中に発言ができないのは、勉強を理解していない、勉強ができないのでは?」と「できないこと」に目を向けて、無意識のうちに親が子どもを否定的に見てしまいます。

子どもは親が感じているままを、自分に対して感じるようになるので、親が子どもに対して不安に感じていることを子どもはそのまま自分のセルフイメージの中に取り込んでしまう傾向があります。
「子どもの自己肯定感」を育むには、親は今の子どもの発達段階を認めて、子どもがうまくできないところや親にとって満足できないところがあっても、その子のありのままを認め、受容してあげることが大切です。それが、子どもの自信を育み、豊かな人生を送るための基盤となる自己肯定感の土台となるのです。

そこで、子どもの自己肯定感を高める重要な鍵となる「ほめる」ことに注目したのが「ほめ写」プロジェクトです。

ほめられることで、子どもの心はオープンになり、素直な気持ちになります。また、認めてくれた相手に対する信頼が高まり、他人に対しても優しくなれます。そして、前向きに自分の力を出して、誰かの役に立ちたい、もっと頑張りたい、と思うようになります。ただ、今回の調査では自己肯定感を伸ばすために有効だと言われている「ほめる」ことすら苦手な親が多いという実態が明らかになりました。

「ほめる」には、努力や達成をほめる「条件つきでほめる」と存在をほめる「無条件にほめる」の2種類があります。

「条件つきでほめる」は、子どもが頑張った時や何かができるようになった時、よい結果を出した時に、一緒に喜んだりなどして子どもの努力や達成についてほめることです。「上手に絵が描けたね」「宿題をよく頑張ったね」「かけっこ1番、おめでとう!」といったように。とても大切ことですが、「条件付きのほめ」だけでは、自己肯定感はうまく育まれません。

もう一つの「無条件にほめる」が重要になりますが、それは、何か特別なことがなくても、子どもの存在自体をほめてあげること。「あなたのことが大好きだよ」「生まれてきてくれてありがとう」といったように、親の無条件の愛情、無条件なほめ言葉が、子どもの自己肯定感を育み、生きる力につながります。

発達心理学の専門家である東京学芸大学教授の岩立京子氏は、「人にほめられると、“ほめられる自分”や“成功する自分”に出会っていくので、そういったことを通じて、自己概念や自尊心、自信が生まれ、自分で考えて行動できるようになります。ほめることは一般に考えられている以上のよい意味があると思います」と言います。

親だって疲れている時やイライラしてる時もあります。子どもの自己肯定感を育むためには、無条件にほめることが大事! とは言っても、毎日子どもをほめるのはなかなか難しいものです。日々子どもと向き合っているなかで、どのタイミングでどんな言葉をかけたらいいのかわからない。一時的にできたとしても、毎日続ける自信がないと感じている方も多いのではないでしょうか?

そんな方におすすめなのが「「写真」の力を借りること。仲睦まじい家族写真を毎日見て育った子どもは「私は家族に大切にされている、愛されている」という気持ちを抱くようになったと、教育評論家の親野智可等(おやの ちから)氏は語ります。氏はこの経験から、写真によって、自己肯定感が育まれる効果があるのではという仮説にたどり着き「ほめ写」プロジェクトにつながりました。

写真を見ながらほめてあげて、子どもの自信を引き出そう!と始動したのです。

具体的には、子どもが輝いている姿を写真や家族との日常の何気ない写真をプリントアウトして、子どもの目立つところに飾っておくだけ。

調査では写真を見る事で、言葉でほめられていない時でも、ほめられた思い出を反芻し、自己肯定感が高まることがわかりました。これは「ほめ写」を実際に体験した事前事後のアンケートや脳活動測定からも明らかになりました。

例えば、家族との日常の何気ない写真に加え、自分が「問題集に真剣に取り組んでいる姿」「レゴブロックに没頭している姿」「素晴らしい絵をかきあげたという満足げな顔」……そんな写真を見て「自分はできる、頑張れる」という思いを強くしたそうです。

「ほめ写」は、子どもの写真をプリントして家の中に飾り、目に見えるカタチで、親が子どもの存在意義を認め、愛情を伝えよう、という試みです。

これなら手軽にどのご家庭でもできるのではないでしょうか?

子育ての忙しい日々の中でも、写真を使って親子のコミュニケーションを深めることで、子どもの自己肯定感もアップさせていけるといいですね。

(一社)日本セルフエスティーム普及協会も「子どもの自己肯定感を高める」この「ほめ写」プロジェクトに賛同しています。

◆テレビのニュースで「ほめ写」が報じられました
◆当協会では、実際に子どもの自己肯定感を上げるには、親が子どもにどのようなはたらきかけをするか、自己肯定感が子どもにどう影響を与えるか等をお伝えする「子どもの自己肯定力アップ講座」(3時間)を開催しています。

子どもの自己肯定力アップ講座〔3時間〕

(こちらの記事はほめ写プロジェクトの資料を参照させていただきました)

調査名:子と親の自己肯定感に関する調査
実施期間:2018年2月17、18日
調査手法:インターネット調査
調査対象:4~12歳の子どもを持つ親600名

LINE@では、自己肯定感の高めるワークをお伝えしていますので、お友達追加してくださいね。LINE@ID:@selfesteem

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