多様性が重要とされる時代ですが、ビジネスの分野ではダイバーシティ・マネジメント(Diversity Management)がテーマになることが多いようです。
ウィキペディアによると、「ダイバーシティ・マネジメント(Diversity Management)とは、個人や集団間に存在する様々な違い、すなわち「多様性」を競争優位の源泉として生かすために文化や制度、プログラムプラクティスなどの組織全体を変革しようとするマネジメントアプローチのことである」とされています。
語弊はあるかと思いますが、簡単に言うと「タイバーシティを認めると結果的に生産性が上がりますよ」ということです。
ところが、日本人はこれが苦手。
ダイバーシティで頻繁に取り上げるられる要素の一つである「性別」でさえ、2019年発表のジェンダーギャップ指数で、日本は153国中、過去最低の121位。5年間にインド、カンボジア、マレーシア、韓国など近隣のアジア諸国よりも順位を下げてます。
ダイバーシティは、人種、国籍、宗教、障害、性別、性的指向、年齢など違いを生み出す可能性のあるもの全ての要素がありますが、日本は性別(ジェンダーギャップ指数)だけでなく、政治や経済など様々な分野でダイバーシティに逆行しているのではないかと感じることがあります。
それは日本が島国であること、母国語が単一言語の日本語だけで、会社おける年功序列や、歴史的な背景など、私たちを取り巻く環境のなかに、その理由となるものが隠れています。
「多様性を認める」ということは、人種、国籍、宗教、障害、性別、性的思考、年齢、全てが異なる環境に身をおき、実際に体験し理解することが近道だとは思いますが、日本ではそのような環境に身を置く事が出来ない人の方が多いはずです。
では、どうしたら私たちひとり一人が多様性を認めるマインドを持つことができるのでしょう?
そこで、お勧めしたいのが、自分自身の中にも多様性を見つけ、多様性を育てていくことです。
茂木健一郎さんは、「やり抜く脳の鍛え方」の中で、自分の中に多様性を育むためのヒントとなる考え方を示してくれています。
『多様性というのは大人になってからでも十分に育むことは可能です。たとえば休日に、いままで経験のないチャレンジをしてみることは効果があるでしょう。仕事の技術を向上させるために、ただただ休日返上で業務にあたるという考え方を変えて、ダイビングで海の探索にチャレンジしたり、また行先を決めずに電車に乗ってみることなどはいかがでしょうか? 脳はいままでに経験のないサプライズに出合った時、活発な活動を始めます』と述べています。
このように、自分の中で、今まで経験したことがないことを体験することで、疑似的に多様性をつくり出してみるのです。
これなら、自分次第でいろいろ楽しめるのではないでしょうか。
例えば、興味がなかったスポーツ、全く興味のないジャンルの本、なかなか理解できない年代の人達やなぜか毛嫌いしてしまう趣味を持っている人との交流、こうしたことに自ら飛び込んでみることで、違った視点を発見し、違った考えを理解出来るようになります。これも多様性を育みます。多様性において、他人の価値を認めるということは、他人に迎合するということではなく、しっかりとした「自分」というものを持っていることが、何よりも重要なポイントです。
みんなちがって、みんないい
『私と小鳥と鈴と』の金子みすゞの詩の一節ですが、これからの時代、私たちがおおらかに多様性を認めていけるかが大きな鍵となります。そこで大事なのは「自分」という存在は自分以外の自分と違う誰かがいて成り立っていることや、自分の中にある多様性をありのまま認める「絶対的自己肯定感」を持てていることなのです。それが大前提となります。なぜなら、それがないと、相手を受け入れることは難しくなるからです。
世の中では「違う」ことはパワーになります。多様性という「違い」を受け入れることで、「違いから生まれるパワー」が発揮され、それを掛け算すると、違う人同士で思ってもみなかった発想や魅力が発揮される世界になっていくのです。それも多様性の素晴らしさではないでしょうか。
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参考:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジェンダーギャップ指数
「やり抜く脳の鍛え方」茂木健一郎
金子みすゞ詩集『私と小鳥と鈴と』
「職場の人間関係は自己肯定感が9割」工藤紀子
(文責:工藤洋一)
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