【情報を絞る】人間関係の上限は何人? | 一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会

【情報を絞る】人間関係の上限は何人?

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人間関係の上限は100~230人だとする「ダンバー数」理論をご存じでしょうか。
ダンバー数(Dunbar’s number)とは、1990年代にイギリスの人類学者であるロビン・ダンバーによって「人間が円滑に安定して維持できる関係は150人程度である」と提案されたものです。

ロビン・ダンバーは、霊長類の脳の大きさと平均的な群れの大きさとの間に相関関係を見出し、平均的な人間の脳の大きさを計算して人間が安定的な社会関係を維持できるとされる人数を割り出しました。その認知的な上限が100~230人だとしています。ここで重要なのは安定的なという点で、社会的交流が途絶えた知人についてはその数に含まれず、知っているが持続的社会関係を欠く相手も含まれません。安定的とはお互いが認識してどんな関係であるかも把握している人間関係ということになります。

ダンバー数の実例としては以下のようなものが挙げられます。

●狩猟採集社会での、村や、氏族(クラン)の平均人数は153人
●毎年クリスマス・カードを送る相手とその家族を合計した人数の平均は154人
●アーミッシュ(ドイツ系移民の宗教集団)は一つの共同体の構成員が150人を超えると共同体を分ける。
●新石器時代での村の住民数は120~150人
●ビジネスで、効率よく仕事ができる組織の人数は150人前後
●軍隊での中隊(最小の独立部隊)の人数は150~200人
●学術上の一つの専門分野における学者の数の上限は200人
(参考:「友達の数は何人?―ダンバー数とつながりの進化心理学」)

SNSではフォロワー数などに注目しがちですが、親友と呼べる人は多くても5人まで、大切な友達・仲間だと思えるのは15人ほど。 顔が広い人でも関係性の深い友達の上限は150人前後とされていますので、多くの人は自身との関係性まで把握している友人はダンバー数以下でしょう。

興味深いことに、ダンバー数を超えるとそのグループの安定を維持する為に、より拘束力のある規則やノルマなどが必要になると考えられていて、多くの組織は150人を超えると新しいグループを作る傾向にあります。一例を上げるとゴアテックスの創業者ウィルバート・ゴア氏は、「グループが150人以下であれば明確な規範がなくても従業員は同じ目標へ向かって努力するが、150人を超えると問題が発生することを経験から学んだ。そこで、各部門の従業員数が150人以下になるように、人数が増えすぎたら部門(工場)を分割するという戦略を取っている」としています。

お互いが親密なコミュニケーションを取れる人数にはダンバー数から分かるように上限がありますが、ネットの進化により能動的な繋がりだけではなく、意図しない繋がりも生まれるようになりました。

京都大学総長の山極壽一氏はインタビューで「SNSというのは、ヴァーチャルで繋がっているわけですよね。つまり頭でつながっている。でも、これまでの信頼関係というのは、実際に会って、一緒に何かをしながら、喜怒哀楽をともにし、五感で繋がってきたわけです。ヴァーチャルで完結しない、五感で感じる付き合いをもっと増やして、本当に信頼できる人々とのつながりをきちんと確保していくことが重要だと思います。」と答えています。

ネットの進化に比例して脳は急激に進化しませんが、テクノロジーによる急な関係性の増加についていけないこともあり、鬱や不安症など様々な問題を生み出しています。インターネットの無い時代へは戻ることはできませんが、その利点・欠点を理解してフォロワーなどの数だけではない喜怒哀楽を共にし五感で繋がる人間関係を構築することが大切です。

喜怒哀楽を共にした良好な人間関係を作るにはコミュニケーション能力も重要で、アサーティブコミュニケーションには自分自身を認めて相手も受容できる土台になる「自己肯定感」が欠かせません。

(文責:工藤洋一

参照:
//www.amust.com.au/2015/02/are-social-networks-ruining-our-real-friendships
//wired.jp/2012/03/07/dunbars-number-facebook/
//uxdaystokyo.com/articles/glossary/dunbars-number/
//scienceportal.jst.go.jp/gateway/sciencewindow/20190926_w01/

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