【ドゥームスクローリング】スマホやニュース番組を見てはいけない理由 | 一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会

【ドゥームスクローリング】スマホやニュース番組を見てはいけない理由

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スマホが生んだ新顔の恐怖症をご存じでしょうか?

仏ジャーナリストのブルーノ・パティノ氏は、スマホを使いすぎる人々の集中力低下問題を指摘した著書「La civilisation du poisson rouge」の中で、スマホが生み出した新種の恐怖症(フォビア)をリストアップしています。

忘却恐怖症: 仲間から忘れられたり無視されたりする恐怖。こうした感情面での依存は、常にメッセンジャーでのやり取りすることと関連している。
ノモフォビア(Nomophobia): 携帯電話依存症。「no mobile phone」と「phobia」の合成語。携帯電話が手元にないとパニックに襲われる。
ファビング(Phubbing): 物理的にその場にいる人とコミュニケーションを取らず、スマホを触って無視すること。「Phone(電話)」と「Snubbing(無視する)」の合成語。
ファントム・バイブレーション症候群: スマホを切っている時に振動や着信音が聞こえる感覚。
ゾンビ・ウォーキング: 常に携帯電話を見ながら街を歩くこと。歩行者にとってもリスクのある行為。

多くの人が体験しているであろう上記フォビアに続き、ドゥームスクローリングが問題となっています。ドゥームスクローリングとは「doom」(破滅、転落、罰)と「scrolling」(画面のスクロール)を組み合わせた新語で、2018年にツイッターに登場すると2021年には世界中でドゥームスクローリングの検索が過去最大となりました。

ドゥームサーフィンやドゥームスクロールは、暗いニュースや書き込みに引き付けられてしまいネットで悲観的ニュースを延々と追ってしまう現象のことです。もしあなたがスマホを長時間スクロールしSNSにどっぷりと浸かる日々を過ごしているのであれば、強い不安、不確実性、不安、恐怖、苦痛などの感情を引き起こし、その結果、入眠障害、睡眠の質の低下、食欲の低下、活動への興味の低下など、その日の作業を続ける意欲の低下を引き起こすリスクが高くなります。

ドゥームスクーリングの原因に様々なものがありますが、比較的肯定的な理由では、ヒトは生まれつき共感する心を持つので、他者の苦痛を自分のことのように感じる「共感する力」が作用するからとも考えられており、暗いニュースに共感し関連するニュースを延々と調べてしまうのはこうした共感力が影響しています。ハーバード大学公衆衛生大学院のメスフィン・ベカル氏によると「わたしたち人間には悪いニュースに注意を払う“生来の”傾向がある」としています。また、日経新聞編集委員の滝順一氏は「人は脅威に対するため、本能的に情報を集める」としています。生存のために情報を集めることが本能だとしても重要なのは「情報は集めても、情報に消費されない」ことです。

一方、ネガティブな理由では、自分の容姿や成功への劣等感などのほかにFOMO(fear of missing out:取り残されることへの恐れ)などがあり、ドゥームサーフィンやドゥームスクロールに陥ると、他者比較に加速度がつき「自己肯定感」が低くなる可能性があります。

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ドゥームスクーリングを予防するには意識して習慣を変えることですが、2019年のライムライト・ネットワークス・ジャパンの調査によると、日本人のスマホ依存度は、インド、韓国に次いで世界で3番目という結果が出ていますので、スマホから離れるデジタルデトックスが不可欠です。

散歩時はスマホを持たずに出かける、食事の時はテーブルの近くに置かない、就寝時にベッドの近くには置かない、友達との会食中は電源を切りバッグの中に入れる。他にもアイデア次第で習慣を変えることは可能です。一人では難しい場合でも家族や友人同士で挑戦することで達成できる確率が高くなりそうです。

物理的な対処法の他にも、瞑想や深呼吸も効果的ですし、人や自然と直接触れ合うことも効果があります。

ロサンゼルスの臨床心理士のミーガン・ジョンソン博士は、否定的な考えに支配された時、そこから逃れようとしても「話題そのもの」に注意を向けることになるので、効果的ではないとしています。別の方法として上手くいっていることを振り返り、そのことに「感謝」をすることで自分が感謝していることに注意を向けるようになります。一日の終わりに、自分が感謝していることについて瞑想する習慣を持てば、感謝すべきことを探すようになります。
一日の終わりに10分間タイマーをセットし、タイマーが切れるまで感謝していることを思い出し続けるのです。大小にかかわらず感謝していることなら何でもイメージできます。以行き詰まったら、以下のリストを考えて、思いついたことをイメージしてみてください。

  • あなたが感謝している友人や家族(過去と現在)
  • 面白い瞬間
  • 達成した成果/完了したタスク
  • 取り組んでいる分野の改善
  • 自然・風景・学んだこと、発見したこと
  • 健康
  • 現代社会や社会の利便性
  • 仕事と経済
  • 楽しかった身体の感覚
  • 楽しみにしていること
  • 天気

あなたは、今日どんなことに感謝できましたか? 一週間続けると「気分一致効果」と相まって信じられない効果がありますので、是非お試し下さい。

参照:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8250995/
https://www.swissinfo.ch/jpn
https://woventraumatherapy.com/megan-johnson
https://wired.jp/2020/08/05/stop-doomscrolling/
1. Yu, H., Gao, X., Zhou, Y., Xhou, X. (2018). Decomposing gratitude: representations and integration of cognitive antecedents of gratitude in the brain. The Journal of Neurosciences.

(文責:工藤洋一

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