日本史・文化から学ぶ、自己肯定感(3)【江戸っ子】

工藤紀子
この記事の監修者
工藤紀子|代表理事
一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会 代表理事。自己肯定感の研究と実践に27年以上取り組み、のべ2万人以上に研修を実施。著書に『自己効力感の教科書』『職場の人間関係は自己肯定感が9割』等。詳しいプロフィール →

物事をつい悲観的に捉えてしまうと悩まれている方はいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、物の見方、視点、枠組みを変えることで、同じ状況であっても、受け取る感じ方を変えることができるようになります。これはリフレ―ミングといわれています。自分の欠点だと思っていたことが、視点を変えることで長所に感じ肯定的に捉えることができたり、困難な状況と思っていたことも、前向きな状況に解釈できるようになります。例えば、優柔不断ということも、視点を変えてみると、安易に決断しない、じっくり考える、という見方で捉えることができます

自己肯定感が高まると、自分への信頼感が高まり、たとえうまくいかないことがあったとしても、また次があると逆境力も高まり、よい意味で楽観的思考ができるようになりリフレ―ミングの習慣化につながっていきます。

リフレ―ミング力において、見習いたいと頭に浮かんでくるのが江戸っ子です。

ドラマや映画の中で、「てやんでぇ~」「粋だねぇ~」といつも前向きで活気ある言葉を発し、物事を楽観的に捉え、その時その時を楽しんで生きているイメージが常にあるからです。

実際、江戸風俗研究家であった杉浦日向子氏も著書「一日江戸人」で、「マッチ売りの少女、あれが江戸娘なら、あんな悲劇にはなりゃしません。たぶん、てれつくてんてんつけ木(マッチ)だよぉ・・(中略)とか踊って、めでたく完売させたことでしょう」と言っています。

この背景には、泰平の世で、町人は武士と違い出世欲がなくてもなんとかその日暮らしができ、江戸っ子自身が能天気という要素があったのかもしれませんが、そこからつながる江戸っ子のことば遊び好きが大いに関係していると思わずにはいられません。

江戸っ子といえば、洒落、駄洒落が大好きです。
当時は、お金を払って洒落を習う秀句指南という習い事もありました。

「何か用?-何か用か九日十日・・」

「ちょっとそこまで曲がった木 ~ 走ら(柱)にゃならん」

肥溜にむかって、「うっ八歳の子ども あければ九歳(くさい)!」

月を見ている男性が一緒にいる女性に何か気の利いたことを言おうと思っていたら、雲がかかってきてしまった・・「これは曇った(困った)・・・!」

「焼き豆腐の心底」(焼豆腐になった気持ち。たとえ火の中、水の中でも成し遂げる。)

など、今聞いても、思わず口元が緩みます。

 

また、庶民に広く親しまれた絵で見るなぞなぞ「判じ絵」では、浮世絵師たちが趣向を凝らして駄洒落をきかせた絵で、隠された言葉を表現していました。

例えば、「賀(が)」を「背負(しょ)」っている→「生姜(しょうが)」

大人が子どもを手招きして呼んでいる → 鯉(こい)

 

怒ったときの江戸弁である「おととい来やがれ」「味噌汁で顔洗って出直してこいってんだ」「豆腐の角に頭ぶつけてきやがれ」なども、ストレートに、ふざけるな、二度とくるな、といえば言えばいいところを、表現にひとひねり入れています。なるほど、そういう発想、見方があったか、と思わずうなってしまいます。

ことば遊びは、ことばの掛け合わせ、語呂合わせであり、その思考パターンを習慣化すると発想力が豊かになります。そして、物事の解釈の視点を拡大してくれ、リフレ―ミング力をつけるのに大いに役立ちます。

江戸っ子は、地方からの出稼ぎ者が増えていく中、初対面の人との会話の掛け合いを楽しんでいたといいますし、そこに彼らのプライドがあり、この思考パターンの習慣化に大いにつながっていったのではないかと想像できます。

現代は、残念ながら駄洒落などは、口に出すタイミングを判断せねばならない世の中となってきていますが、物事を解釈する際に、江戸っ子のように粋な思考パターンでことば遊びを少し入れてみるのもいかがでしょう。そうすると、例えば、冒頭に取り上げた「優柔不断」については、「言う十(個)普段(いうじゅうふだん)!」とも考えられるな。それって、普段からじっくり10パターンほどの策を考えるくらい、じっくり時間をかけて物事を考える性格であるってことだな、とさらに納得感ある肯定的捉え方につなげることもできます。

(文責:おないみえこ

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