

女性リーダー育成に必要なのは「スキル」だけではない
女性社員の力を引き出す、自己肯定感・自己効力感研修の重要性
近年、多くの企業で女性活躍推進やダイバーシティ経営が重要なテーマとなっています。採用や制度整備だけでなく、女性管理職の登用、次世代リーダーの育成、キャリア形成支援などに取り組む企業も増えてきました。
しかし、現実にはまだ大きな課題があります。
内閣府の男女共同参画白書によると、日本の就業者に占める女性の割合は2024年時点で45.5%と、諸外国と比べても大きな差はありません。一方で、管理的職業従事者に占める女性の割合は16.3%にとどまっており、諸外国がおおむね30%以上であることと比較すると、依然として低い水準です。
また、民間企業における役職別の女性割合を見ても、係長級24.4%、課長級15.9%、部長級9.8%と、役職が上がるほど女性の割合は低くなっています。
厚生労働省の令和6年度雇用均等基本調査でも、課長相当職以上の管理職に占める女性割合は13.1%、部長相当職では8.7%、課長相当職では12.3%と報告されています。
つまり、女性は働いている。けれど、意思決定層やリーダー層にはまだ十分に上がれていない。ここに、組織が向き合うべき本質的な課題があります。
女性リーダー育成に必要なのは、スキル以前の「土台」
女性リーダー育成というと、ロジカルシンキング、マネジメント、プレゼンテーション、交渉力などのスキル研修が思い浮かぶかもしれません。もちろん、これらは大切です。
しかし、女性社員が組織の中で本来の力を発揮するためには、スキル以前に必要な土台があります。
それが、自己肯定感と自己効力感です。
自己肯定感とは、「ありのままの自分には価値がある」と感じられる感覚です。一方、自己効力感とは、「自分ならできる」「行動すれば状況を変えられる」と感じる力です。
この2つが十分に育っていない状態では、どれほど能力があっても、女性社員は自分の可能性を小さく見積もってしまうことがあります。
たとえば、次のような場面です。
「このプロジェクトを任せたい」と言われても、「私にはまだ早いのではないか」と感じてしまう。
会議で意見があっても、「間違っていたらどうしよう」と発言を控えてしまう。
昇進の打診を受けても、「家庭との両立ができるだろうか」「周囲にどう思われるだろうか」と不安が先に立つ。
実績を出していても、「たまたま運がよかっただけ」「周囲に助けられただけ」と受け止め、自分の力として認められない。
こうした状態は、女性社員が能力不足だから起こるのではありません。むしろ、真面目で責任感が強く、期待に応えようとする人ほど、自分に厳しくなりすぎてしまうことがあります。
インポスター症候群が女性の挑戦を妨げる
近年、女性リーダー育成の文脈で注目されているものの一つに、インポスター症候群があります。
インポスター症候群とは、十分な実力や成果があるにもかかわらず、「自分は本当は能力がないのではないか」「いつか周囲に見抜かれるのではないか」と感じてしまう心理状態です。
KPMGの調査では、女性エグゼクティブの75%がキャリアの中でインポスター症候群を経験したと報告されています。また、自分の能力に疑いを感じたとき、72%がメンターや信頼できるアドバイザーの助言を求めたともされています。
これは、決して一部の人だけに起こる特別な問題ではありません。特に優秀で成果を出している女性ほど、自分の実力を正当に認められず、「まだ足りない」「もっと頑張らなければ」と感じてしまうことがあります。
特に女性社員の場合、職場の中で「女性だから目立ちすぎない方がいい」「強く主張するときついと思われるのではないか」「管理職になると家庭との両立が難しくなるのではないか」といった、目に見えにくいプレッシャーを抱えていることも少なくありません。
その結果、本来であればリーダーとして十分に力を発揮できる人材が、挑戦の一歩を踏み出せない。昇進や抜擢の機会があっても、自ら手を挙げられない。責任ある役割を担っていても、心の中では常に不安を抱えている。
これは本人だけの問題ではなく、組織にとっても大きな損失です。
自己肯定感が、安心して力を発揮する土台になる
では、女性社員がより組織の中で力を発揮するために、企業は何をすべきなのでしょうか。
その答えの一つが、自己肯定感を高める研修です。
自己肯定感が育つと、女性社員は「完璧でなくても、自分には存在価値がある」と感じられるようになります。失敗を自分の価値の否定として受け止めるのではなく、成長のプロセスとして捉えられるようになります。
また、周囲と比較して自信を失うのではなく、自分の強みや経験を認めながら、前向きにキャリアを考えられるようになります。
女性リーダー育成において重要なのは、「もっと強くならなければならない」「もっと成果を出さなければならない」と本人に負荷をかけることではありません。
むしろ大切なのは、すでに持っている力を自分で認め、「私はここにいてよい」「私には役割がある」と感じられる内面的な土台を育てることです。
自己肯定感研修では、自分の価値を成果や評価だけに結びつけすぎない考え方を学びます。これまでの経験、乗り越えてきたこと、自分の強みや大切にしている価値観を振り返ることで、自分自身を肯定的に受け止める力を育てていきます。
この土台があることで、女性社員は必要以上に自分を小さく見積もらず、自分らしく役割を担うことができるようになります。
自己効力感が「私ならできる」という挑戦意欲を育てる
女性リーダー育成において、自己肯定感とともに重要なのが自己効力感です。
自己効力感とは、「自分ならできる」「行動すれば状況を変えられる」と感じる力です。
自己効力感が高まると、「私には無理」ではなく、「まずやってみよう」「必要な力は身につけていける」と考えられるようになります。難しい仕事にも挑戦しやすくなり、リーダーとしての役割にも前向きに向き合えるようになります。
実際、自己効力感と仕事の成果には関連があることが研究でも示されています。自己効力感と職務パフォーマンスに関するメタ分析では、114研究、21,616名を対象とした分析において、自己効力感と仕事関連パフォーマンスの間に有意な正の相関が確認されています。
また、Judge & Bonoのメタ分析では、自己肯定感や一般的自己効力感などの「中核的自己評価」が、職務満足や職務パフォーマンスと関連することが示されています。特に一般的自己効力感は、職務満足との関連が高いことが報告されています。
つまり、自己肯定感や自己効力感は、単なる「気持ちの問題」ではありません。働く人の意欲、挑戦行動、パフォーマンス、職場での定着、リーダーシップ発揮に関わる、重要な人的資本の土台なのです。
自己効力感研修では、過去の成功体験を整理し、小さな達成を積み重ねる方法、失敗から学ぶ視点、周囲の支援を活用する力を身につけていきます。
これにより、「できるかどうか不安」な状態から、「どうすればできるかを考える」状態へと変化していきます。
女性社員の力を引き出すことは、組織全体の成長につながる
自己肯定感と自己効力感が育つことで、女性社員本人だけでなく、組織全体にも良い影響が生まれます。
発言を控えていた社員が、会議で自分の意見を伝えられるようになる。
リーダー候補者が、昇進や新しい役割に前向きになる。
管理職になった女性が、自分らしいリーダーシップを発揮できるようになる。
後輩女性社員にとっても、「自分もあのように働けるかもしれない」というロールモデルが生まれる。
このような連鎖が、組織の中に女性リーダーを増やす土壌をつくっていきます。
女性活躍推進は、制度だけでは進みません。数値目標だけでも十分ではありません。
もちろん、働き方の柔軟性、評価制度、登用機会、メンター制度などの整備は不可欠です。しかし、それと同時に、女性社員一人ひとりが「私は私のままで価値がある」「私ならできる」と感じられる内面的な支援が必要です。
女性リーダーを育てることは、単に女性管理職の人数を増やすことではありません。
それは、多様な視点を経営や現場に取り入れ、組織の可能性を広げることです。そして、社員一人ひとりが自分の力を信じ、安心して挑戦できる職場をつくることでもあります。
女性リーダー育成に、自己肯定感・自己効力感研修を
日本セルフエスティーム普及協会では、自己肯定感と自己効力感を土台に、女性社員が自分らしく力を発揮し、組織の中でリーダーシップを育んでいくための研修を提供しています。
女性社員の中には、すでに多くの力や可能性が眠っています。
しかし、その力を発揮するためには、「もっと頑張る」ことだけではなく、自分自身を認め、自分の可能性を信じられる心の土台が必要です。
スキル研修の前に。
あるいは、スキル研修とともに。
女性社員が本来の力を発揮するために、自己肯定感と自己効力感を育てることは、これからの女性リーダー育成に欠かせない視点です。
女性社員の中に眠っている力を、組織の未来につなげるために。
今こそ、自己肯定感と自己効力感という「人が力を発揮する土台」に目を向けることが求められています。



















