孤独を楽しむ力とは? | 一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会

孤独を楽しむ力とは?

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「孤独」は、1日にたばこ15本を吸うのと同じ、もしくはアルコール中毒に匹敵するくらい健康に悪影響を与えると言われています。

イギリスでは孤独が健康に悪影響を与えることを問題視して、2018年1月には孤独問題担当国務大臣が設置され「Campain to End Loneliess(孤独を終わらせるキャンペーン)」などの活動をしています。英国には900万人の孤独な人々がおり、そのうち400万人は高齢者ですが、あらゆる年代で孤独感を感じる人が増えているというデータもあり、日本でもその対策のために2021年2月に孤独・孤立対策の担当閣僚が設けられました。

孤独という言葉から高齢者を連想する方が多いと思いますが、イギリスの孤独問題対策委員会の調査では、子どもを持つ24%が常に孤独を感じ、10代の子どもたちでさえ62%が「時折、孤独を感じている」との調査結果があります。また、カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部の研究チームは、社会の中での自己効力感が低いことと不安の高さは、60代を除く全ての年齢層で孤独感の悪化と関連していたとする研究を発表しました。研究チームによると孤独の水準は20代が最も高くなったそうです。

日本の現状を調べてみると、三菱総合研究所の生活者市場予測システムによる年齢別調査では、日本でも最も孤独を感じているのは20代で、「とても孤独を感じる」「孤独を感じる」との回答合計は男女とも各世代の中で最も多く、なんと26歳女性では33.9%にもなります。

若者が孤独を感じる理由として「Campain to End Loneliess」では下記の理由をあげています。

  • 友達を作るのが難しい
  • 転校して新たなスタートを切ることになった
  • 虐待やいじめを受けたことがある
  • 死別を経験したこと
  • 家族とうまくいっていない、または介護を受けている
  • 病気や障害がある
  • 摂食障害があったり、気分が落ち込んだりしている
  • Covid-19のパンデミックの間、友人や家族と離れて長期間過ごした

 

では、孤独の定義とはどういったものでしょう。

「Campain to End Loneliess」では、孤独の定義を「まず、あなたがどう感じているか」としています。つまり、どんなに多くの友人がいても表面的な付き合いであれば孤独に感じることもあり得るということです。家族がいても、本当に心が通っていない家族であれば、常に孤独感を感じることになります。心が通っていないということは、社会の中で人間の根源的欲求が満たされていない状態といえます。

様々なSNSの影響で多くのフォロワーがいるにも関わらず、心が満たされないのは孤独の定義でもあり、それは他者からの承認を求める強い欲求が満たされないことで生まれます。それを弱めるのに重要なファクターとなるのが「自己肯定感」です。

ぽつんと一軒家や、島に一人で暮らす老人など、バラエティー番組やドキュメンタリー番組を見ていて「なぜ、彼らは人との関わりを持たずにたった一人で生活できるのか?」と疑問に思う人は少なくないですが、実は彼らは「孤独を感じていない」「孤独を悪と思っていない」という点が重要で、他者の目を意識することなく「自分の現状の幸せ」に目を向ける意識があるからと考えられます。

孤独のという言葉は英語では lonelinesssolitudeがあり、一般的に不安で寂しい状態を孤独(ロンリネス)、一人の時間を楽しむ孤独(ソリチュード)と区別しています。前述のようなケースは間違いなくソリチュードなのですが、日本では理解されにくい部分でもあります。

孤独(ロンリネス)から孤独(ソリチュード)へ転換することにより、孤独に対するとらえ方が違ってきますが、その鍵になるのが「自己肯定感」です。

矢作直樹(やはぎなおき)先生は、著書「今を楽しむ――ひとりを自由に生きる59の秘訣」の中で、孤独を愛すること(ソリチュード)ができるようになると、次の「5つの感覚」を獲得できるようになると述べています。5つの感覚は自己肯定感を高めると持てる感覚でもあります。

(1)寂しいと感じることがなくなる
(2)瞬間、瞬間を楽しめるようになる
(3)ただ生きているだけで幸せと思えるようになる
(4)何かに困るようなことがなくなる
(5)どこに所属しても、あるいは所属しなくても、気にならなくなる

Covid-19に伴う失業や産後うつ、病気など自分ではどうすることもできない理由で孤独(ロンリネス)に陥っている人を社会全体で支援するとともに、矢作先生が指摘されているように孤独(ロンリネス)から孤独(ソリチュード)への思考転換が求められているのかもしれません。

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友人・同僚・その他宗教・スポーツ・文化グループの人々と、全く(赤)、あるいは滅多に(青)付き合わないと回答した割合(1999-2002年)

【参考】OECDの調査によると、日本では国民の90%が自分には必要な時に頼れる人がいると回答している一方で、過去一か月で他人の手助けをしたことがあると答えたのは約23%とOECD諸国の中で最も低い値になります。また、日本国民の15%ほどが友人・同僚などと共に時間を過ごす割合が低く、OECD諸国の中でも最も高くなっています。こうした社会的ネットワークが弱いと、他者との接触がなくなり、最終的に孤立感(ロンリネス)に繋がりやすいと懸念されています。

(文責:工藤洋一

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【参考記事など】
https://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20180514-OYT8T50092/2/
https://www.campaigntoendloneliness.org/about-loneliness/
Together: The Healing Power of Human Connection in a Sometimes Lonely World
https://forbesjapan.com/articles/detail/39075/1/1/1
https://news.livedoor.com/article/detail/15735238/

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