伝えたことが、相手に自分が伝えたいように伝わっていないと感じることは、きっと誰にでもあるのではないでしょうか?
なぜそう感じるのか、その原因が分からないと人と関わる前からあきらめが生まれ、コミュニケーションに自信が持てません。
「自分が言ってもどうせ分かってもらえない」と感じる時、相手に理解してもらえないのは自分が悪いと、自分を責めてしまい、自己肯定感は下がります。
また人によっては、「私の言うことが何で分からないの?」と伝えた相手に怒りが湧き、相手が理解しないのは、相手が悪いという、他者責めをしているとき、自己肯定感は低くなっています。
私たちは自分が伝えたことは、相手にそのまま伝わると思っていますが、実は、自分が伝えたいことが相手に正確に伝わるという保証はありません。
なぜなら、伝えたことは「相手の受け取り方」で変わるからです。自分が言いたかったことと一致してイメージ通りに相手に伝わることはほとんどないといってもいいでしょう。
それはなぜでしょう?
たとえば、電車に傘を置き忘れて「傘を無くしてしてしまったんです」と友人に伝えたとします。その人にとって、無くした傘は、意を決してデパートで買った高価な傘でした。なくしたショックはかなり大きくても、それを伝えられた相手の「傘」のイメージはというと、「ビニール傘」でした。
ここですでに、自分が伝えたいことと、相手が受け取るイメージは一致していません。
伝えられた人は、傘をなくした相手があまりにがっかりしているので、「なんで傘ぐらいで、こんなにがっかりするのだろう?」と不思議に思うかもしれません。
又はがっかりした様子を見て「よほど思い入れのある傘だったのかもしれない」と想像できれる人であれば、相手がなぜがっかりしたのかを聞きたいと思うかもしれません。
「聞き手」は「話し手」の言葉を「自分の世界観」でイメージします。ましてやそのときの聞き手の状況や感情も加わって認識されるので、話し手の思いと一致することはほとんどないのです。
このように、同じ言葉を伝えても、すれ違いが生まれるのは自然なことです。
自分のことを「理解してくれているはず」と思える家族やパートナ、一番身近な存在であっても、この感じ方の不一致は普通に起こります。
「相手に分かってもらえない」「なんで相手は分かってくれないの?」と不満を感じたら、「一方的に自分の思いを伝えるだけになっていなかったか?」を検証してみる必要があるかもしれません。
なぜなら満足できるコミュニケーションには、「理解」しあおうとする気持ちが不可欠だからです。一方的に伝えるだけでは、本当のコミュニケーションにはなりません。
アサーショントレーニングを提唱している平木典子氏によると「理解とは、ピンとの合わないところから、徐々に焦点を合わせていくようなものであり、分かったと思ったことでもさらに想像を働かせたり、確かめたりする必要があるもの」と述べています。
私たちは、自分のものの見方や考え方を正しいと感じていますが、誰もがみな違う価値観を持ち、考え方を持っています。
自分と他者との違いを受け入れ、お互い歩み寄ろうとする気持ちを持たずに、自己肯定感を下げずお互いを尊重しあうコミュニケーションをとることはできません。
だからこそ、ひとりよがりにならずに、「自分を理解してもらおうとする努力」と「相手を理解しようとする努力」が必要なのです。
それが「自己肯定感」を高める働きかけにもなります。
(文責:代表理事 工藤紀子)
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