心理学はウソだらけ?
日経新聞(2019/12/15)によると、有名な心理学の実験を再検証する中、定説とされていた心理学が再現できないという報告が相次いでいるそうです。例えば、有名な「マシュマロ実験」。
1960年代後半から1970年代前半にかけてスタンフォード大学の心理学者・ウォルター・ミシェル氏が実施したもので、「自制心」「セルフコントロール」が人生の成功に関係するかを調べた実験です。
詳細な説明は割愛させていただきますが、実験で15分間マシュマロを食べなかったグループは、大学進学適性試験(SAT)の点数では、15分間でマシュマロを食べてしまったグループに対して、トータル・スコアで平均210ポイントの差があったことから、周囲からより優秀と評価され「自制心」があり「セルフコントロール」が優れていると評価されました。それが人生の成功に寄与すると考えられました。
しかし、2018年5月にニューヨーク大学のテイラー・ワッツ氏とカリフォルニア大学アーバイン校のグレッグ・ダンカン氏、ホアナン・カーン氏らが実験規模を大きくして実施した検証実験では、残念ながら再現性が確認できなかったそうです。
同実験は、スタンフォード大学で「人間行動に関する、最も成功した実験のうちの1つ」とされたので、こうした結果を受けて(信じ切って)「忍耐力」をベースにした教育が家庭や学校で行われてきた可能性があります。
「マシュマロ実験」の他にも、「スタンフォード監獄実験」「視線による抑止効果」「パワーポーズ」など、著名な研究が再現できませんでした。事態を重く見て、主要な学術誌に掲載されている100本の論文中、同様の結果が出たのは、なんと4割弱だったそうです。
米科学誌「サイエンス」は15年、心理学研究への信頼が揺らいでいる事態を重く見て、主要な学術誌に掲載された心理学と社会科学の100本の論文が再現できるかどうかを検証した。結果は衝撃的で、同じ結果が得られたのはわずか4割弱にとどまった。日本の代表的な心理学会誌「心理学評論」も16年、再現できない実験に関する問題を特集号として取り上げた。
日経新聞 2019/12/15
日経の記事中で、九州大学の山田祐樹准教授は「有名な心理学の実験で最近、再現できない事例の報告が相次いでいる」「心理学は科学でないと受け止められるところまで来ている」とし、研究のやり方の見直しを提唱しているようですが、ここで興味深いのは「元の実験が真実ではなかった」とすぐに断定できない点です。
一連の記事を読んでいて感じたのは、「実験対象者の社会的背景」などが大きく実験結果に影響しているだろうということです。その時代に応じた結果が出るということは、私たちが生きているその時代背景が重要で、その時代背景が人の心理に及ぼす影響が大きいのかもしれません。
同じ心理学実験でも、外国で行ったものと日本で行ったものでは、同じ結果が出ない可能性もあります。日本人が諸外国に比べ「自己肯定感」が低い傾向がみられるのは、グローバル化の波や社会不安によって日本が陥っている社会的背景が大きく影響を与えていると感じます。
勿論、改善する方法はありますが、次々に発表される海外発の心理学の結果に右往左往せず「ありのままの自分を認識すること」で、ぶれない自分になることが重要です。
「自分のことを認める」「自分の思考パターン」を知ることが最優先となる個の時代に、私たちは生きているのではないでしょうか?
(文責:工藤洋一)
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