日本史・文化から学ぶ、自己肯定感(5)【真田昌幸】 | 一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会

日本史・文化から学ぶ、自己肯定感(5)【真田昌幸】

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今年もあともう少しで終わろうとしています。充実した1年だったと感じる人もいるかもしれません。一方、辛く苦しい年になり、時間などに追われ、目の前のことで精一杯、ストレスを強く感じ、生き残るために必死に日々を過ごし、なんとか生き延びた、と思われている方もいられるかもしれません。

生き延びる、生き残るといえば、戦国の世、領地を守り、主君を幾度か変え、家名を守り抜いた戦国武将真田昌幸がいます。
言わずと知れた真田信繁(幸村)の父であり、大河ドラマ「真田丸」では草刈正雄が演じました(かっこよかったですねぇ)。

真田昌幸は、父幸綱(幸隆。ここでは幸綱で統一)と兄信綱、昌輝とともに、武田二十四将に名をあげられており、親子4名で数えられる一族は真田家のみです。
また、父幸綱、昌幸、息子の信幸(信之)、信繁の3代で知謀の将と呼ばれる家も数多い武将の中で稀な存在です。
父から自分、そして息子へと繋いだ立場にある昌幸の存在あってこそ成し遂げられたこと。
現代においても根強い人気を持ち、今更昌幸の凄さをいうこともないですが、一ファンとして、自己肯定感の視点を中心に彼をみていきたいと思います。

戦国の世、生き残りをかけ、一つの決断がその後の我が身を大きく左右する中、心理作戦も戦略の一つであると同時に、己もメンタルが強くないと生き残ることはできません。昌幸は、名だたる武将の中でもメンタルマネジメントがとても巧みだったのではないか、と想像します。
昌幸の父幸綱は、敵の感情を刺激し、自分の得意な領域へ誘い込む。相手の喜怒哀楽の起伏につけいるということを得意とし、この術を昌幸も学び、相手方の性格、気質を冷静にかつ客観的に洞察し、計算していたといいます。これを為すには、まず己の感情のコントロールができていないとなかなかできないことです。

武田家滅亡後、主君を織田、北条、徳川に従属、上杉、豊臣と変えていきます。
都度の決断時、そしてその結果、想定内想定外のことへの瞬時の対応においては、小国経営故、感情論で動いてしまうと一気に相手に攻め込まれ、最悪、領土を取られ大勢の命を失くしてしまうことになります。昌幸は、自分の立ち位置を考慮しながら気持ちをひきずらず、気持ちの切り替えを上手く行い、時には、ぐっと我を殺すべきときには殺し、感情の振れ幅が大きくならないようコントロールできた人だったのではないでしょうか。
「表裏比興の者」-表裏があり何をしでかすかわからないーと言われていたことでも有名で、秀吉は、これを、何をしでかすかわからないスケールの大きな人物で面白い奴である、と評しています。これは、真田家を是が非でも生き残らせるというゆるぎない志を軸に、したたかさをも武器にし、己の感情コントロールができた故も大きいと思います。

また、7歳で人質として甲府に送られ、信玄の小姓として仕え、信玄の兵法、治世等を学んでいきます。知謀といわれた父幸綱に加え、成長段階で、多くを学べる人物に出会えていたこと、そしてその人に仕えることを誇りに思っていたであろうことはとても幸運なことであり、この環境も昌幸に大いに影響を与えているはずです。
成長段階の環境は、子どもが自ら設定することはできません。生きる姿勢、考える姿勢をきちんと示せる大人、このような人になりたいと思う大人を身近に持つことは子どもにとっても大事なことです。それが子どものセルフイメージにも影響してくるからです。昌幸は父親になると、今度は息子たちに、自分の堂々と生きる、そして戦う姿勢、自分が学んできた兵法を示し、それを息子たちは誇りに思い、受け継がれていったのではないでしょうか。
そう思うとき、現代の私たち大人はどうでしょう。子どもたちに、堂々と自分の人生を送っている、という姿勢を伝えているでしょうか。子どもたちに与える大人の影響を今一度考えなければいけない時代にいるのではないか、と考えてしまう昨今です。

そして、昌幸の言葉「たとえ錦を着ても心が愚かならば役に立たない」
関ケ原の戦後、破れた西軍についた昌幸は信繁らとともに、高野山の山麓九度山へ蟄居させられ、困窮した時期がありました。ある時、刀の柄に木綿の紐がまかれており、それを笑う者がいましたが、実は中の刀はピカピカに磨かれており、紐には崩れないよう特別な打ち方がしてあったということです(世にいう真田紐)。見えるものだけ繕っても、中身を磨いていなければ役に立たないのです。中身=自分自身についてもしかり。自分自身・自分らしさを知り、本当に自分が考えていること、心からやりたいと思うことを磨くことを怠らない。

今、仕事や人間関係でひどくつらい思いをしている人、就職、転職活動がうまくいっていない人、目指すべきことに努力しているのに結果がまったくでていないと嘆いている人がいられるかもしれません。
自分が理想とする鎧を身に付けることができないと自己否定をしてしまいがちになりますが、理想の鎧を着ていないからといって、それは決して自分の人格が否定されたわけではありません。何が起きても、中身=自分自身の価値は変わりません。外見や肩書が変わろうが、本来の自分を大切にし、自分軸をしっかりもち、腐らず自分を磨き、いつでも動けるようにしておく姿勢をもっておくことを改めて思わされます。

メンタルマネジメント、自分を大切に思う大人であること、そして、自分軸をもち自分自身を磨いていくこと。
これらは、自己肯定感を育む中で自然と身につけていけることです。

新年に向け、また1年、生き残らねばならない、と不安な気持ちを抱くのではなく、自分を大切しながら安心して“生きる”ようになる! 昌幸だけでなく、自己肯定感を高める講座がきっと気づきを与え、後押ししてくれるはずです。

参考文献:
真田昌幸(黒田基樹 小学館)
真田幸綱 昌幸 信幸 信繁(柴辻俊元 岩田書院)
日本の歴史 真田昌幸(ポプラ社)

(文責:おないみえこ

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