人間は知らず知らずのうちに「気分」で動いてしまいます。
心理学者のフォーガスとバウアーらの研究では、気分よく前向きに生きている人は人生の肯定的出来事について語り、不機嫌で不満の多い人は否定的出来事について語ることが多い傾向にあるとされています。しかも気分よく生活している人は他者への評価も前向きで肯定的ですが、不機嫌な人は他者への評価が厳しい評価になることが多いことが分かっています。しかも興味深いことに意図せずに評価していることが多いのです。
これを「気分一致効果」といいます。
※気分一致効果には記憶に関する気分一致記憶と、判断における気分一致判断があります。
機嫌が悪い時に周りに当たってしまうのは分かりやすいケースですが、人は気分によって意図せずに「他者への評価」や判断までも変えてしまうのです。
自分自身が気分良く生活している時は、家族や同僚など関わる人への評価は高くなります。他者への評価が高くなると他者からの自身への評価も高まりますので、人間関係にも良く影響を与えます。仕事では厳しい他者評価は当然と考える人も多いかもしれませんが、他者評価が厳しい場合にはパワハラなどの要因にもなり、コミュニケーションに問題を生じることが多く人間関係に悪影響を与える事も少なくありません。つまり、自分自身が気分良く生活することで周りへの肯定的な評価をすることで人間関係にも影響するということです。
他者の良い面を見る習慣を持つには、自分がいかに気分よく過ごす習慣を持てているかです。誰もが一日を気分良く過ごしたいと考えていますが、ドゥームスクーロリングなど気分が落ち込むような機会が増えている現代では、嫌な気分に陥る機会が増加しています。
また、天気も気分一致効果に影響を与えることが分かっていて、天気の良い日と悪い日に電話を用いて幸福感と生活満足度を尋ねた実験では、晴れた日に調査された人の方が幸福感も満足度も高かったそうです。これからの季節は日照時間も短く地方によっては曇天や雪など天候が悪い日が続き「冬季うつ」も危惧されますが、事前に「天気が気分に影響する」ことを知識として事前に知っていると天候からの影響を受けないことも分かっていますので、天候の影響で気分が落ちてしまいがちだという事を知っておくと良いでしょう。
誰もが一日中気分良く過ごせるわけではないですが、あまり良い出来事が無かった一日でもリセットして次の日に備え、意図して気分が落ちる情報から距離を置くことは出来るはずです。
自己肯定感に影響を与えるのは「エモーション(感情・気分)」です。もし「気分が落ちているな」「嫌な気分だな」と自覚したら、素早く気分の良い状態に戻すために、自分で気分を上げるリストを準備しておくのがお勧めです。
味覚で幸福感を感じる人は美味しい食事を、聴覚で幸福感を感じる傾向の人は音楽を、触覚で幸福感を感じる方は温泉やマッサージ。自分がどのタイプで幸福感を感じるのかを知り、気分を上げる方法を見つけておくことがご自身と周りの方への幸福感に繋がっていきます。
合言葉は、嫌な気分は「さようなら~」、素敵な気分は「こんにちは~」です。
(文責:工藤洋一)
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