心はいくら鍛えても強くならない

工藤紀子
この記事の監修者
工藤紀子|代表理事
一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会 代表理事。自己肯定感の研究と実践に27年以上取り組み、のべ2万人以上に研修を実施。著書に『自己効力感の教科書』『職場の人間関係は自己肯定感が9割』等。詳しいプロフィール →

「強い精神はどうしたら手に入るのか?」と質問されると、「心を鍛えればいい」と答える人も多いかもしれません。心は鍛えれば鍛えるほど、強くなると考えられていますが、果たしてそうでしょうか?

そんな疑問に対して、山崎房一氏は「心はいくら鍛えても、強くなることはない」と、「こころが軽くなる本」の中で述べています。

それどころか心は「強くしよう」とすると反対に弱くなり、ストレスに勝とうと気持ちを強くもつほど、逆に苦しくなりもろくなってしまうというのです。

筋肉は鍛えて強くなりますが、心は鍛えて強くすることはできません。人間の心は、鍛えようとして乱暴に扱うと、かえって傷つき擦り切れて苦しくなってしまう。
それでは、どうしたら心は強くできるのでしょう?
これは、心の病が増え、メンタルヘルスが注目を浴びている昨今、とても大事なテーマです。
氏はその著書の中で、心を強くするには「今の自分のあるがままの状態に満足して、心の柔軟さを作り出すこと」が重要だと述べています。
心が柔軟であれば、どんな強風が吹いても折れない柳の枝のように、様々なことが起こっても考え方や視点を変えたり、問題を一時ペンディングにしたり、難問を上手にやりすごし、時間をかけて解決策を見つけだせるといいます。
反対に、あるがままの自分に満足できていない場合は、困難な問題に直面すると、身体をかわしてやりすごすことができず、そのことで頭がいっぱいになり、やがて身動きがとれなくなり、心がポキンと折れてしまう、そんな現状を指摘しています。
心が最強のときは「今のままでよい」と安心して、あるがままの姿でいられるとき。
今のままでいいと安心するのは、今の自分に妥協することでも、成長や努力を止めてしまうことでもありません。それは、今の自分の状態をジャッジせずに、ただそのままを受け入れられていることです。その状態のとき、私たちは安心して次にどう進みたいか、何をやりたいかが、怖れや恐怖や強制からではなく、自然な意欲から生まれてくるのです。
心は、今のままでいよいと安心すると、すっかり元気になり、どんなトラブルに対しても柔軟に対応できるようになります。

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リラックスした自然の状態にあるときに、心が最高のコンディションを保つことができるのは、そこには自分に対する疑いや自己否定が消えて、自己肯定感が高まっているからです。

さらに山崎氏は著書の中で「今の状態は自分の心が弱いからではないか?」「自分の心をもっと強くしなければ」と「心を強くしようと思ったり、改善を企てた瞬間に、心は弱くなってしまう」と言っています。

なぜなら、心はたとえ強くしようという目的であっても、そこに「疑い」がはさみこまれると、たちまち不安定になってしまうからなのです。
そして「心が強い状態の柔軟な心」とは、上手な気分転換ができる心のことだといいます。

気分転換とは、気分を変えて、停滞している生命の流れをもとに戻し、低下した生命感情を高揚させること。気分転換は、誰の手も借りずに、自分の心を元気づけることができる唯一のマインドコントロールの方法です。
あなたは、どんな上手な気分転換の方法を持っているでしょう?

私たちが日々さらされるあらゆるストレスをはねのけるためにも、自分にあった気分転換の方法を持つことが非常に大切なのかもしれません。
参照:「心が軽くなる本」山崎房一著(PHP文庫)より

(文責:代表理事 工藤紀子)

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一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会(JISE)事務局。講座・イベント情報の発信、受講者サポートを担当しています。

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