世間体を気にしない、永井荷風

工藤紀子
この記事の監修者
工藤紀子|代表理事
一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会 代表理事。自己肯定感の研究と実践に27年以上取り組み、のべ2万人以上に研修を実施。著書に『自己効力感の教科書』『職場の人間関係は自己肯定感が9割』等。詳しいプロフィール →

5月17日の日経新聞、The STYLE ! で永井荷風が取り上げられていました。

永井荷風は、2度の離婚を経て37歳から79歳まで、日記の名作といわれる「断腸亭日常」を書き続けながら、わがままなひとり暮らしを貫きました。
荷風には「ひとり暮らしのわがままな作家」というイメージがあり、彼ほど世間から悪口をたたかれた作家は珍しく「わがまま」「ケチ」「フランス人気取り」などあげたらきりがありませんでした。

ただ、本人はあまり気にしていなかったようです。

私も含めて、殆どの人は周りからの評価が気になり、好かれたい、バカにされたくない、嫌われたくないという基本的欲求(感情)に振り回されてしまいますが、彼の姿勢は一貫して「気にしない」「自分の好きなことをやる」でした。

記事ではそのメンタルを支えたのが独自哲学と紹介されています。

哲学その1「世間の目を気にしない」
荷風曰く「悪口なんて低劣な興味しか持てない人のいうことだと考えてきかないことにすればいいんですよ」

哲学その2「よく眠る」
荷風曰く「仕事をするか、本を読むか、そのどっちにも気が向かないときは寝てしまうに限る。そういうときに寝ることが出来ないようじゃ孤独を押し通す生活に成功することは出来ませんぜ。寝るコツは、あした外へ出たら、どこへ行って何を食べようか――まずそういうことを考えりゃいいんですよ」

哲学その3「物を減らす」
荷風曰く「物が多すぎるから心はうわのそらになっちまう。物がなくても生活出来るという自信を持つことが必要ですよ」

「永井荷風の生涯」小門勝二著

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では、自己肯定感の視点から各哲学を見ていきます。

まずは、哲学その1です。
荷風のように周りの幸せを意識しなさすぎるのも問題ですが、現代では周りの事を考えすぎて「自分の価値」を見出せなくなっている人が増えています。自分の価値と直結しがちなものの一つに他人からの「悪口」があると思います。意見の相違があった時など、相手を否定したり、非難したりすることがありますが、意図せずに、自分がその対象になってしまった時には、荷風のように達観した意識が重要です。
「悪口言ってる人は、浅い人」このマインドを思い出してみましょう。

哲学2で、注目したいのは「寝るコツ」です。
荷風は気分が乗らない時に寝てしまうに限ると言っていますが、就寝時に不安にフォーカスせずに、明日やりたいと思う興味や希望ににフォーカスするのがコツと指摘しています。
不安や怒りなどのネガティブ感情にフォーカスして眠ることができるでしょうか? 仮に眠りについたとしても、睡眠の質は悪くなり、あくる日からの生活の質が悪くなってしまうのは当然です。
ジャパネットたかたの創業者である髙田明氏は、著書「伝えることから始めよう」の中で、どんなに辛い事があっても、明日の不安にフォーカスせずにすぐに眠れるのをご自身の長所としていましたが、コロナウィルスで不安感が蔓延している今だからこそ、明日の良いことを意識して眠ることが大切になりますね。

哲学3にも自己肯定感が影響しています。
必要以上の物を所有するのは何故でしょう? 本当に必要なものは実は多くなく、過度に物を買うのは虚栄心だったり、自己価値の再認識だったりすることが少なくなりません。興味深いのは、富裕層と言われる層ほど実は質素な部分があるようです。人間には虚栄に基づいた「必要以上の消費」が多いと感じます。皆さんの周りではどうでしょうか? 物が多すぎてうわのそらになっていませんか?
ちなみに、荷風が亡くなった時、傍らに置かれたボストンバッグには常に持ち歩いた土地の権利証、預金通帳、文化勲章など全財産があったのですが、中身の通帳の額面は総額2334万円(現代で3億円ほど)を越えており、他に現金31万円余が入っていたそうです。

自己肯定感は、実に多くの場面で影響力を与えます。それは「何が本当の幸せなのか」「自分らしく生きている」という根本に関わっているからです。

(文責:工藤洋一

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工藤 洋一 理事
一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会 理事。自己肯定感に関するコラム執筆・講座運営を担当。

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