「ネガティブ思考」は悪くない

工藤紀子
この記事の監修者
工藤紀子|代表理事
一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会 代表理事。自己肯定感の研究と実践に32年取り組み、のべ2万8千人以上に研修を実施。著書に『レジリエンスが身につく 自己効力感の教科書』『職場の人間関係は自己肯定感が9割』等。詳しいプロフィール →

「ポジティブ思考」と「ネガティブ思考」のどちらか一方を選択しなければならない時、ポジティブは前向きで明るく能動的、より良い人生や人間関係を構築できるイメージがありますので、多くの人は「ポジティブ思考」を選択すると思います。ただ、あなたが本来の自分らしさの要素に、慎重、手堅い、丁寧などの要素が他の人よりも強い場合、ポジティブ思考を受け入れることに少々二の足を踏むことがあるかもしれません。

そもそも、本当に「ポジティブ思考」を手に入れれば幸せになれるでしょうか?

実は、「ポジティブ思考」のメリット部分だけが注目され、「ポジティブ思考」がもたらすデメリットに関してはあまり知られていません。
エール大学の研究者エリザベス・ニーランドなど多くの心理学者は「ポジティブ心理学」だけを崇拝する危険性を指摘しています。特に自尊心(セルフエスティーム)に及ぼす影響を研究する中で、「ポジティブ思考」によって幸せになれる人もいるが、逆に挫折感を覚えたり鬱に陥る人もいることが分かってきたそうです。

ポジティブ心理学界のインディ・ジョーンズとも呼ばれ、NHK「幸福学白熱教室」に出演したロバート・ビスワス=ディーナー博士も、直近の著書では「ポジティブ思考」が必ずしも良いとは言及しませんでした。

「楽観主義」が向いている人がいると同時に、「防衛的悲観主義」のほうが向いている人が存在するのです。比較的「ポジティブ思考」を受け入れやすい国民性のアメリカ人と比べ、日本人はむしろ「防衛的悲観主義」の方が受け入れやすい傾向さえあるのかもしれません。

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様々な文化的思考がありますので、海外で取り入れているものがそのまま日本社会に適合するとは限らないのです。ただ、日本人は過度に悲観的に考える傾向があるので、その点は注意が必要です。

重要なのは、過度に「ポジティブ思考」になったり「ネガティブ思考」にならず、あくまでも「中庸でいること」です。

振り子のように大きく無理やり「ポジティブ思考」に振れていくと、あるタイミングで逆に大きく「ネガティブ思考」に振り戻されてしまいます。「中庸である」とは「行動などが一つの立場に偏らず中正であること」「陰」と「陽」のバランスが取れている状態のことをいいますが、「ポジティブ思考」を持っている自分と「ネガティブ思考」を持っている両方の自分を穏当に客観的に把握している状態です。

思考的に中庸でいられるようになるには、正しく「自己肯定感」を理解することと、それを実践することです。
自己肯定感が高い状態であれば、仮に悲観的な出来事に出会っても、否定的な思考や気分から回復しやすいという研究も報告されていますので、ありのままを認めることがますます求められます。

参考:Self-affirmation and affective forecasting:
Affirmation reduces the anticipated impact of negative events

(文責:工藤洋一

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工藤 洋一 理事
一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会 理事。自己肯定感に関するコラム執筆・講座運営を担当。

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